あんた誰?
とある出版社が仕事の依頼の電話をしてきた。仮にN社としておこう。
「連載の企画をお願いしようと思いまして……」というきりだしだった。Mac雑誌が苦境にたたされているなかで、なかなか見る目があるじゃんと思ってしまったね。
初心者向けのフォトレタッチ講座をやってほしいとのことだった。それなら、いままでやってきたイラスト講座とそれほどはずれるものでもない。こちらのノウハウが役にたつのならやってみたい企画だった。
「初心者向けの講座って、手間がかかるからという理由で、なかなか引き受けてもらえないんですよね」とのハナシだ。
なるほど、そうだろう。自分の仕事としてやれば1日ですむ工程の説明をはじめると、ゆうに3日はかかるのだ。おなじ手間なら、短くすむほうがありがたい。
その手間のかかることを、ずっとやってきているのだと説明をしているうちに、ふと疑問が頭をよぎった。
依頼をしてきている雑誌は、Windows系の雑誌だったのだ。やはりグラフィックはMacにかぎるというので、Macのページでも始めるつもりなのだろうか?
そこでおもむろに「ウチはMacですが」ときりだすと、絶句されてしまった。しばらくの沈黙ののち、
「じゃーまー、そーゆーことで」と電話を切りそうになるではないか、おいおい、すでにギャラのことなんかにも軽くふれていて、かなりハナシは進んでいたのだぞ。
ここで切られては、いままでの時間、相手をしていたのはなんだったのだということになるので、SoftWindowsで作業をする提案をした。
「いまなら、MacやWindowsでクロスプラットホームのソフトも多いから、手順の説明は同じですよ。手順はMacでわかってるし、画面キャプチャだけWindowsの画面で撮ればいけるんと違いますか」などとほざいてみたが、どうも気に入らないようだ。
そもそも、なんでウチへ電話してきたのだ。あちこちでやっているイラスト講座とかを見て電話してきたのではないのか? あげくのはてに「ふだんは、どんな仕事をしてるんですか?」ときたもんだ。
おーい、まがりなりにも仕事を頼もうとした相手にいう言葉じゃないぞ。それでも某文壇の大御所なら「無礼者」とわめきちらすところを、ぐっとガマンしちゃって仕事の説明をしてしまうとこなんざ、まだまだケツが青いかな。
イラストを描いたり、文章を書いたり、本の編集をしたりしていると説明し、「DOPINGMAC」という本の編集もしたことを伝えると「それ買いました」とキャアキャアよろこんでいる。そんな本を作っている人間がWindowsで仕事していると思っていたのだろうか?
けっきょく、何人かの人間に打診しているところだという最初にはないハナシに変化し、来週中には結論を出しますというという逃げの体勢になってきたので、電話かメールでちゃんと連絡するようにと、メールアドレス、ホストペットつきをおしえて電話を切った。
期限はすぎたが、それからなんの音沙汰もない。がんばしゃーじくるばい!
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