W-ZERO3[es]でGPX Loggerを使うまでのエントリが数日に分けて書いてあるのでわかりづらいかもしれない。なので、もういちどまとめておこう。
簡単にまとめると、以下の手順が必要となる。どれかを省いてもGPX Loggerは動かない。
・232USB.dllを使うことでUSB接続のGPSがCOMポートに割り当てられている。
・HKEY_LOCAL_MACHINE\ControlPanel\GPS SettingsのレジストリでHIDEやRedirectキーを削除してコントロールパネルにGPSが表示されている。
・そのGPS設定で「GPSを自動的に管理する」にチェックが入っている。ハードウェアポートが232usbで割り当てられたポートになっている。
・HKEY_LOCAL_MACHINE\Drivers\BuiltIn\GPSIDにDllキーをつくり、値をgpsid.dllとする。
■必要なツール類(必ず入手しておこう)
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232usb - RS232 USB Serial Driver
http://www.softclub.jp/zoro/ce/
作者:ぞろよし氏
分類:フリーウェア
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TRE Pocket PC (version 0.90)
作者:TascalSoft氏
分類:フリーウェア
http://www2r.biglobe.ne.jp/~tascal/index.htm
PocketPC用のレジストリエディタ。W-ZERO3[es]ではARM用を使用
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GPX Logger
作者:imr 氏
分類:フリーウェア
動作OS:Windows Mobile5.0
http://etrexer.web.infoseek.co.jp/programs/gpxlogger.html
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●まずは下準備
最初に、どのポートへGPSが割り振られたのかを調べるために、コメットUSB/3のドライバCD内にある「GPSinfo」を事前にW-ZERO3[es]へインストールしておく。
つぎに232usbドライバをインストールする。
232usbを解凍すると、232usb.dllと232usb.exeの入ったフォルダができる。
ActiveSyncでPCとW-ZERO3[es]を接続し、232usb.dllはW-ZERO3[es]のWindowsフォルダへ入れ、232usb.exeは本体でもminiSDカードでもいいので、適当な場所へおいておく。
W-ZERO3[es]のファイルエクスプローラで232usb.exeを起動し、「New」ボタンをクリックしておく。
ここでUSBホストケーブルを使い、コメットUSB/3を接続する。しばらくすると、自動的に接続設定が完了し、ドライバが組み込まれる。そうしたら、いちどUSBケーブルを抜き、再度接続する。
※USBホストケーブルにはうまく動かないものもあるとのことなので注意。

232usb.exeでコメットUSB/3を使えるようになる
GPSinfoを起動し、ポートのポップアップメニューを調べると「RS232_USB」と名前のついたCOMポートが見つかるはずだ。今回はCOM3に割り振られていた。
「StartGPS」をタップすると文字列がずらずらと表示される。これがNMEAデータそのものである。
衛星測位画面で衛星の補足状況を見ると、室内にもかかわらず、6つと実用になるレベルで補足していた。

GPSinfoで割り振られたCOMポートをさがす

衛星を捉えた。バッチリ使える
●WM5のGPS管理機能をアクティプにする
おつぎはGPX Loggerを使う準備だ。GPX LoggerはポートからGPS情報を得ていない。OSのAPIから取得するソフトだ。
その機能はWindows Mobile5.0(以下WM5)にもともと備わっているという。しかし、W-ZERO3[es]の設定画面には「GPS」コントロールパネルはない。それは、レジストリによって隠されているためだ。レジストリの変更にはTREを使用する。
このGPSコントロールパネルを表示するためには、レジストリのHKEY_LOCAL_MACHINE\ControlPanel\GPS Settings以下にある、"Hide"もしくは"Redirect"キーを削除すると表示されるとのことだ。
Redirectキーがあったので削除したところ、GPSコントロールパネルが表示された。
【※レジストリをいじるので自己責任で。壊れても知りません】

隠れていたGPSコントロールパネルが現れた
このコントロールパネルを開き、プログラムポートと実ポート、OSが自動的にGPSからのデータをプログラムへ受け渡しをする設定をする。これはimr氏のサイトにくわしくあるので、そちらを見てもらいたい。重要なのは「GPS設定」で「GPSを自動的に管理する」にチェックを入れておくことだ。

GPX Loggerを使う設定
この後、GPS Intermediate Driver(GPSID)を使えるようにレジストリを変更する。
●GPSIDを使えるようにする
1. TREでレジストリを開き、HKEY_LOCAL_MACHINE\Drivers\BuiltIn\GPSIDをさがす。
2.「新規」から「文字列」を選択しキーを作成する。値としてDll、値のデータとしてGPSID.dllと書いておく。

新しく文字列キーを作る

値をDllとしてデータとしてGPSID.dllとタイプする

GPSIDにDllキーができている
3. その後、リセットキーを押して再起動をすると、GPS Intermediate Driverが使えるようになる。

リセットをしたら使用可能になっているはずだ
確認方法として、GPX Loggerが動作しているかどうかやPocket Mapple DigitalのGPSダイアログでシリアルポートの選択欄が消えていればOKだ。 (最新バージョンのPocket Mapple Digitalでは選択欄は消えない。「自動設定」と表示される)

ポートの選択欄が消えている
これで、GPX LoggerやWM5のGPSIDに対応したソフトが使えるようになる。
●動作確認
ちゃんとNMEAデータが[es]へ流れてきていれば、GPX Loggerを起動し「Start」させれば「記録中!」という表示となる。GPSが衛星を捕捉してなかったり、NMEAデータが[es]へ流れてきてない場合には「待機中」の表示となる。

GPX Loggerも動いて記録している
●GPXログは便利
街中を自転車で適当にくねくねと走ってログをとってみた。
W-ZERO3[es]をActiveSyncでつないで、ログができているか見ると、ばっちりと「060916_155051[950].gpx」というのができていた。サイズは105KBである。
一方のMio168RSでのNMEAログは1.2MBほどだった。ほぼ10分の1のサイズだ。

GPX形式のログができていた

NMEA生ログと比べるとこのサイズ
1時間程度GPSユニットを使っていたが、W-ZERO3[es]のバッテリーインジケーター75%の電池残量となっていた。
さて、このGPXログは、カシミール3Dでスカっと読める。何も変換することもいらない。
さらに、日本語化されたGoogle Earthへもドロップするだけで軌跡が表示された。

カシミール3Dでそのまま読める

Google Earthへドロップするだけで軌跡が表示される
W-ZERO3[es]を持っているのなら、GPSユニット、1GBのミニSDカード、Super Mapple Digital v7をそろえれば、GPSで現在位置がわかる簡易ナビ付地図と、GPS移動ログを取ることが可能となる。
バックライトを消しておいても、4時間ほどでバッテリーがなくなる。1日外でログをとりたいなら外部バッテリーは必須だろう。
【謝辞】
imr氏、niratama氏の協力がなければ、この方法は実現できなかった。また、必要な各種フリーウェアを作成された方々のご協力に感謝いたします。
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