6月1日に改正道路交通法施行
この6月1日から施行される改正道路交通法だが、自転車に関する条例も改正される。
それらをサイトで告知、もしくはわかりやすい場所に置いているか、首都圏の警察のサイトを見てみると。
神奈川県警 告知見つからず。
警視庁 告知見つからず。
埼玉県警 告知見つからず。
千葉県警 トップページの「法令・制度」から見に行ける。少しわかりづらい。
さて、その内容だが、元となる道路交通法の改正案を見てみよう。
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第六十三条の四第一項を次のように改める。
普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
第六十三条の四第二項中「通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分」を「普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分」に改める。
同項に次のただし書を加える。
ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
第六十三条の九の次に次の一条を加える。
(児童又は幼児を保護する責任のある者の遵守事項)
第六十三条の十 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
第二章 歩行者の通行方法
(通行区分)
第十条 歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
2 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
●6月1日改正
前項の規定により歩道を通行する歩行者は、第六十三条の四第二項に規定する普通自転車通行指定部分があるときは、当該普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行するように努めなければならない。
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となっている。法令文というのはわかりづらいものだ。警察サイトでは、より一般にわかりやすく告知する必要があると思う。
さて、これが警察サイトへ掲載された場合にはどのように紹介されているかというと、千葉県警では
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自転車利用者対策
1. 普通自転車の歩道通行可能要件の明確化
道路標識等で指定(歩道通行可)された場合
運転者が児童・幼児(13歳未満の子ども)の場合
運転者が70歳以上の場合
車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合
歩道通行が可能
※歩行者は、「普通自転車通行指定部分」をできるだけ避けて通行するよう努めなければなりません。
2. 乗車用ヘルメット着用努力義務の導入
児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童・幼児(13歳未満の子ども)を自転車に乗車させるとき、補助イスなどで同乗させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるように努めなければなりません。
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そして、わりと見つけやすい場所に告知されている広島県警では
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自転車の通行等に関するルールが改正されました。
平成20年6月1日から施行となります。
①普通自転車の歩道通行に関する規定の改正
「普通自転車通行可」の歩道以外でも
・道路標識等で指定された場合
・運転者が児童,幼児等の場合
・車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合
歩行者も「普通自転車通行指定部分」をできるだけ避けて通行する努力義務
②児童・幼児(13歳未満の者)を保護する責任のある者は,児童・幼児を自転車に乗車させるときは,乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努める。
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2については、どちらも、13歳以下の子供が自転車に乗るとき、親が乗せるときにはヘルメット着用のことと読み取れる。
問題は自転車の歩道走行だ。
今回の改正法で、「警察官が止める」以外の場合、なし崩し的にすべての歩道を自転車が走れることになる。
13歳未満の子どもと70歳以上は無条件に歩道走行できるし、「車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合」はどのようにも拡大解釈ができる。
すなわち、自転車はすべての歩道を走れることになる。
また、改正道路交通法では「普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる」となっている。普通自転車通行指定部分とは、道路標示で指定された部分のことだ。それがない歩道では車道寄りを走ることになる。
これは自転車部分の法律だが、歩行者に対する法律では「当該普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行するように努めなければならない」となっている。
この部分が警察サイトではより強い文面になっている。
「歩行者も『普通自転車通行指定部分』をできるだけ避けて通行する努力義務」があるというのだ。
自転車通行帯の部分は歩くなということだ。全国の歩道を見れば、「普通自転車通行指定部分」の標示のない歩道が大部分だから、自転車は車道寄りを走ることになっている。歩行者は車道寄りは歩くなという解釈もできる。
しかも道路交通法の文面にある「歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる」という部分が抜けている。
人が歩いている脇を走る安全な速度というなら、時速5Kmまでだろう。そこを現在では時速20Km近い速度で走っていく自転車もいる。
そうした現状を既成事実として追認してしまおうというのが警察の考えのようだ。
自転車はどこの歩道でも走るから、歩行者は自転車のために道を空けろと警察では考えているのだ。
これはひどい改正だ。
いまでも、自分が歩行者となれば歩道を歩くが、自転車の歩道走行によって、何度もヒヤっとしたことがある。実際に自転車の一部が身体にかすったこともあるし、レジ袋にぶつかり、中のペットボトルがへこんだこともある。
そんな場合でも、自転車は走り去ってしまうので、なんともできないのが現状だ。
今なら法規にのっとって「歩道を走るな!」と怒鳴りつけることもできるが、6月1日からはできなくなる。
自転車は原則車道の左側を走行するということが、改正道路交通法の告知ではすっぽりと抜け落ちている。
13歳以下の子供も70歳以上のお年寄りも、自転車では時速15~20Kmぐらいの速度は出せる。そして、重量的に40Kg~100Kgのものが人とぶつかれば、大けがや死亡することもある。
子供も年寄りもバランス感覚がよくないので、蛇行運転しやすい。歩行者にとっては危険な存在だ。
昭和48年(だったと思う)に、自転車事故を減らすために、自転車を歩道へあげたことが間違いだったのだ。
やるべきことは、自転車通行帯を作ることと自動車ドライバーへの自転車への配慮の徹底、自転車乗りにも交通規則を教えることだったのだ。
歩道へ自転車をあげたために、なし崩し的に歩道は無法地帯となった。そして、それを追認するための改正道路交通法としか思えない。
さらには、昔騒いだ「自転車は歩道走行」が現実味を持つようになった。歩道にペンキで帯をかけば、そこは自転車通行帯となるためだ。
6月1日に改正道路交通法が施行されても歩道の混乱や、無法自転車は現状通りだと思うが、歩行者は歩道でも自分の身を守らなくてはならなくなった。警察は事故が起きるまでは何もしてくれないだろうからね。
ここを読むような自転車乗りの方々には、
・自転車の車道左側走行
・やむなく歩道を走る場合は車道寄りを時速5Km程度で
・歩道では歩行者の安全が第一
・人通りの多い歩道を通過しなくてはならないときは押して歩く
ということの実践をお願いしたい。
今や、自転車は社会の迷惑者としか思われてないので、それを変えていかないとサイクリストに未来はない。
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コメント
>やむなく歩道を走る場合は車道寄りを時速5Km
・70歳以上の方には非常に難しいでしょうね・・
警報機を連打しながら中央をそこのけと走っておられる
10km/h位で走ってて「じゃまじゃ!!」と怒鳴られることが良くあるし
>人通りの多い歩道を通過しなくてはならないときは押して歩く
・またがって通行するより、人と自転車の分スペースを取り、ますます混雑停滞する・・で~自転車通行禁止のところが増える?
でも走る人は走るのでやはり「自転車乗りにも交通規則を教えること」が一番いいと思うけど
免許制ですかね
投稿: 定吉 | 2008.05.16 11:49
神奈川県警に問い合わせてみたところ、現在掲載準備を進めているとのこと。
1ヶ月を切っているのに準備中というのは、、、、本当に掲載すされるのかなぁ?
その代わりに案内されたサイトは警察庁のページでした。
安全・快適な交通の確保(警察庁)
http://www.npa.go.jp/koutsuu/index.htm
投稿: 神子秋沙 | 2008.05.16 21:07
○定吉 さん
ここを70歳以上の方は読んでませんて(笑)。
警察に要求したいのは子供のうちにしっかりと交通ルールを教えてもらいたいものです。
自転車も免許制にして交通反則金制度にしてしまえばいいのでしょうが、何歳から自転車OKにするか、問題が多すぎますね。
○神子秋沙 さん
警察庁のページと各都道府県の警察ページとなぜか温度差がありますね。
現行の道路交通法を遵守しても、自転車に関しては大変な混乱を招く法律なのです。自転車同士ぶつかって事故るか、人を巻き添えにするわけですね。
投稿: 米田裕 | 2008.05.17 01:48
脳味噌がアルコール風味なので、読んでられないのですが、(..;)
警察庁のトップページに以下の新着が掲載されていました。
H20.5.20 掲載
道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令について
[案文]
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku92/annnai.pdf
[新旧対照条文]
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku92/shinkyuu.pdf
投稿: 神子秋沙 | 2008.05.23 23:42
○神子秋沙 さん
私も脳味噌がアルコール風味です(笑)。
警察庁のPDFは、あれれって感じで自転車に関することはすっぽ抜けてますね。
これは別の法規のことでしょう(身体障害者と聴覚障害者についてのことみたいです)。
投稿: 米田裕 | 2008.05.24 03:22
米田さん。
私の早とちりでした。すいません。
無関係ではないですが、ほとんど関係ないですね。
もうあと1週間となってしまいましたq
各地 の県警でかなりローカルな啓蒙活動は始まったようですが、ローカルすぎてあまり話題になっていないのがなんとも。
(Googleのニュースで自転車で検索して地方のニュースとしてチラホラとある程度。)
もうちょっと、大々的に広報して欲しいところです。
投稿: 神子秋沙 | 2008.05.24 08:31