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2005.05.11

川崎市の愚行

 おのひろきさんの主宰するBDメーリングリストを読んでびっくりした。その内容はこちらで。
 川崎市には、御幸公園から登戸までの、たぶん首都圏最古のサイクリングコースがある。多摩川青少年サイクリングコースという名前だ。
 オレが中学1年の1970年には完成していて、よく走りにいったものだ。その当時はサイクリングコースというぐらいだから、自転車道と理解していた。
 その後、都内に住み、川崎は縁遠い街だったが、33年が経ち実家へ戻ったのをきっかけに、また川崎市の多摩川のサイクリングコースを走るようになった。
 でもって、びっくりしたのは、このサイクリングコースは「歩道」になってしまっていたのだ。これは、このブログで何度も書いている
 すなわち、自転車は徐行で、歩行者の邪魔をしてはならぬ、後ろからベルを鳴らすのはもってのほかという道路となっていたのだ。
 BDMLメーリングリストの内容をかいつまんで書くと、テレビ神奈川製作の川崎市広報番組で、多摩川サイクリングコースの紹介をしたいとのことだったらしい。
 でもって、おのさんはBikeFridayのタンデム車で参加、謎和田さんはトレーラーつきのAirFridayで参加したという。
 これらの自転車は「絵」になるので、カメラクルーは熱心に撮影し、番組を作った。
 しかし、試写を見た川崎市関係者は「多摩川サイクリングコースは『歩道』だから、歩道を走れない自転車が登場するのはいかがなことか」と想像で言うけど、たぶんこう言ったと思う。
 それで、他の自転車の映像に差し替えられたというのである。
 確かに川崎市の多摩川青少年サイクリングコースは「歩行者用道路」と表記されている(これならいいでしょ高千穂さん)。

DCP_0194
川崎市のサイクリングコースにある標識。理解に苦しむ

 しかしだ、こんな理不尽な道はないのである。サイクリングコースが歩道とは何を根拠に言うかである。
 まー、根拠があるので仕方がないが、1978年に改正された道路交通法だ。
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1978年12月1日道路交通法一部改正
(普通自転車の歩道通行)

第63条の4 普通自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、道路標識により通行することができることとされている歩道を通行することができる。

2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等によりすべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない
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 これで自転車も歩道を走ってよくなってしまったのである。となれば、自転車道も歩道でよいとなった原因は、ずーっと書いているが道路構造令であろう。これは各道路の最低幅を規定した法律だ。自転車道は最低2.5メートルを下回ってはいかんのである。しかし、多摩川サイクリングコースには、それ以下の部分が存在する。ならば拡幅するより歩道としてしまえば工事もしなくていいし、自転車も走れるので安上がりでOKという判断だ。
 川崎市は自転車道の規格を持つ道路を作ることより、既存の歩道を規定した法律にあわすために「サイクリングコース」という名前の「歩道」をつくってしまったのだ。
 恐るべき愚行である。
 これは、歩行者、サイクリスト両方に危険をもたらす。
 まったく法律の抜け穴を使ったいい行政判断ということなのだろう。この改変、改正に携わった市会議員の名前を知りたいところだ。

 参考までに書いておくけど、日本の道路で2輪のタンデム車の2人乗りは現在のところ走れるのは長野県だけだ。これは道交法ではなく、都道府県条例による。しかし、その根拠はあいまいだ。なぜタンデムが走ってはいけないのかがハッキリしてないのである。
 歩道を走ってはいけない。当たり前だ。もともと自転車は車道を走るものなのだから。
 道路交通法や道路条例のゆがみを受けて、タンデム車によるタンデム走行は闇へと葬られた感がある。
 オレの子供のころには、タンデム車はオーダー自転車のひとつの頂点として、あこがれの自転車だったのにである。
 
 このテレビ広報番組の視点では、タンデム車でタンデム走行することは、多摩川青少年サイクリングコースでは違法となるらしい。
 もし、おのさんが、この取材クルーと仲良くなっていたなら、「タンデム車によるタンデム走行がなぜいけないのか?」という番組を作ってもらうといい。神奈川県知事の松沢氏までをも巻き込めれば最高である。
 長野県の田中康夫知事は認めていますというと反発するかなぁ。

 とにもかくにも、川崎市には、過去にこんなバカな条例を作った人物がいたということである。それが、何十年も続いてしまっている。
 最近では音楽のある文化都市やらなんやらを掲げ、無駄な努力をしている川崎市だが、オレが高校生のときから感じているのは「文化果つる街川崎」だ。
 生活に関係ないものがどれだけ手に入るかを文化の基準とすれば、デザイン用品、画材はほとんど手に入らない街だった。それはいまも変わらない。だから高校時代から画材は銀座へ買いに行くしかなかったのである。
 都内に住んでいたころ、下北沢でも経堂でも街中に画材屋があり、ちゃんとデザイン用品、画材が買えた。それよりも現在の川崎駅周辺は劣るのだ。いまだに川崎駅周辺にちゃんとした画材店はない。これでは文化果つる街と呼んでも仕方がないと思う。

 ここにきてできることは何か? そろそろ自転車乗りからも政治家を出す時代なのかもしれない。警察がなんだかあやしい自転車法律を通そうとしているらしいが、それを止められれるのは政治力だけだ。
 その政治家も、政権政党にいなければ意味がない。無所属で当選しても発言力もなにもないのだ。
 なんともいやな時代だが、のんびりしていると自転車の地位は下がるばかりだ。
 そしてアホ行政にも何か言わないといけない。市民の投書のレベルではない戦略が必要かと思う。
 いろいろくやしいが、自転車乗りの未来を考えるときに「誰か」が必要なんである。啓蒙者たちには、その気があるのかね?

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コメント

いやもう、これは、どんどん書いてください。ところで、いま警察庁が、自転車の車道走行禁止を画策し、そのための法案を作成しているというすっぱ抜きを疋田さんがして以来、あちこちで、大騒ぎになっています。そういう状況で、この中途半端は、いったいどういうことなんでしょうね。政治家は、あまりあてになりませんよ。ツール・ド・北海道にも参加している現職の財務大臣がいても、この現状なんですから。

投稿: 高千穂遙 | 2005.05.11 10:27

 ケーサツは、自転車は軽車両ではないとか言い出したりして。
 現在の自転車の通行を見ていると、今日もガキが右側を併走して走っているなんて姿があった。手前に路駐のクルマがあり、バスが反対車線へ出てきているというのに、そこへ突っ込んで併走して走っていくんですな。
 車道を走ってきて信号が赤だと歩道へ乗り上げて、そのまま曲がっていってしまうなんてのもザラに見ます。
 こうなると、自転車の通行は歩道か車道かハッキリしないといけないというときに、歩道なんて考えが警察からは出てくるんでしょう。
 ホントは自転車レーンを作って、ガードレールとかでクルマを入れないようにするとか、歩行者、自転車、自動車の通行区分をハッキリとさせることがいいんだろうけど。
 ちなみに自転車レーンがある道路では、道路交通法の自転車の通行区分により
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自転車道の通行区分)
第63条の3 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
(罰則 第121条第1項第5号)
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 車道を走ってはいかんのですね。近所に自転車レーンのある道があるけど、車道を走ってしまった。これは違反してしまったなぁ(笑)。

投稿: 米田裕 | 2005.05.11 19:51

自転車レーンはおおむね無料駐車場と化しているので、早く取り締まりを民間に委託してがしがし摘発してくれないと、使い物になりませんな。(^^;

車道の無法自転車は、まずそれを1台1台、警察が指導して是正させるのがつとめですよ。そういうやるべきことをやらないで、いきなり法改正に走るのは、明らかに不当行為といえるでしょう。

投稿: 高千穂遙 | 2005.05.11 22:57

 神奈川県へ住んでびっくりしているのは、暴走族への警察の対処でもあります。昔は環八付近に住んでいたので、夜中の3時ごろにパパラパ~なんて暴走行為があれば、すぐにパトカーのサイレンの音がしてました。
 ところが、こちら川崎では夜中3時ごろにパパラパーがあっても、パトカーなし。やるにまかせて騒音を撒き散らしてます。
 まったく取り締まる姿勢もないのかと思っています。
 この取り締まらない姿勢は、なんなのでしょう。法治国家で法の違反を見逃すことは、法治国家の存続をも揺るがすことと思います。
 警察は、自転車の違反が実刑になることを恐れずに(手続きも面倒?)、やればいいと思います。まー、おばちゃんやガキたちはビックリするでしょうね。
 前科者になり2~5万円取られるんだもの。
 でも、そうしたことをしてこなかったから、現在の混沌があるわけで。自転車安全教育と啓蒙をしてこなかったのは警察(だけではないと思うJCAってなんだ?)の落ち度であると思うわけです。
 昭和30年代に雨後の筍のようにできたサイクリングクラブも、結局はなにもできなかったわけですね。現在は60~70歳台の方たちが会員ですが、サイクリング啓蒙(これは走るだけでなく、法のことやさまさまざまな社会問題をも含む)ことをしてこなかったのでは思います。
 新年会走行でお神酒をいただくことや、法に触れそうな部分も、クラブランと称して報告されています。
 やはり、いちばんの問題は自転車は人を殺す道具になりえるという認識がないのが問題かと。
 ダウンヒルで自分でこけても死ぬこともありますし、他人をひっかけても死ぬこともある。
 小学生の自転車だって、衝突した相手の打ち所によっては人殺しをしてしまう可能性は否定できない。
 人の生死がかかる部分での認識が、社会全体で低いと思うんです。だから警察も動かなかった。
 でも、安易に解決しようとしてはいけない問題です。警察官のサイクリストってどれぐらいいるんだろう?彼らは警察の考えに同意してるんでしょうか?
 自転車乗りは、同じ自転車乗り(身内と考える?)と外部と戦っていかざるおえなくなるので、大変ですね。
 こうもりの集団のなかで、こうもり批判とこうもり脱却をいっしょにやらないといけないわけで、ふつーはできません。
 要望を出すと同時に自分の首も絞めていくわけです。
 それでもなんとかしないといけない時期にてしまったのかもしれませんね。
 こないだ読売新聞が協賛のアースライド2005が全面記事で載ってましたが、1000自転車以上で歩道を走ったのなら、やめてほしいと思いますね。
 休日であろうと、歩道は歩行者のものです。
 そこを走ったことで、恵まれない子供たちの夢をかなえるとは何事ですか。新聞社として。趣旨には賛同しますが、迷惑の元にはなりたくないと思います。
 こうした「気づいてない」人たちにも啓蒙していかないといけないので、まったく寂しい限りです。
 走れない自転車レーンが近所にあるので、笑っちゃっているんです。そこにはバス停とベンチが設置されています。だから車道を走るしかないんですが、自転車レーンのある道では、それは違反だというんですね。
 もはや、この国の自転車行政はキ○○イかと思ってます。
 自転車雑誌にもジャーナリズム意識が欲しいと思ってます。疋田さんのスクープをなぜ深追いしないのか。なぜ、編集長の個人的な編集後記でしかふれられないのか疑問です。
 ものすごく自転車にとって寂しい時代を生きている気分になりました。

投稿: 米田裕 | 2005.05.12 00:54

サイクリングロードによっては堂々と「自転車歩行者道」なんて謳っていたりします。歩行者、自転車、自動車の通行区分を明確にするために、自転車乗り自らが行動しなくちゃいけない時期にきてますね。人任せにしてると、とんでもないことになるような気がします。

投稿: 須貝弦@macforest | 2005.05.25 23:48

 今のMac使いさん、ようこそ。バトンタッチします(笑)。

 まーちょっとはずれますけど、疋田さんて、政府関係の自転車交通諮問委員もやっているわけですよ。その人が無責任に、こんな法律が通りそうなんて書くとこに問題ありと思っているわけです。
 そういうソースでのスッパ抜きするなら、誰が、どう対処するのか考えてほしい。
 世論で世の中が動くなら、いまの不思議な政治はないですよ。
 疋田さん以外から出たなら、民衆の力を結集してなんてことになるけど、こちらとは立場の違う人が「なにかまずいことになりそう」みたいな言われ方だと、当人に頑張ってほしいと思います。で、その努力をしないのなら、ただのピエロ的な人ですね。
 それを言えないほど、自転車に乗っている人間側にも問題大なのが苦しい部分かとも思います。

投稿: 米田裕 | 2005.05.26 00:55

どうもすみません、市井のいち"Mac使い"でございます。メルマガやるときにあまり考えずに名付けして、それ以降……と、言い訳はおいといて、

疋田さんの件に関しては、確かに米田さんのおっしゃるような見方もできると思います。私自身「疋田さん、そのやり方はどうかしら?」って気持ちもありますし、すでにピエロになりそうな予感もあります。

でもまぁあの記事をキッカケに色々と見えてきたのも確かなんで、それに対しての行動はとっていきたいと思ってます。

投稿: 須貝弦@macforest | 2005.05.26 01:18

極端はハナシ、自転車歩道走行法案? が通ってもいいと思ってます。そこでおきる混乱を見たら、法の撤廃か見直しを迫られるのではと。
時間もかかり、犠牲も大きいでしょうが、無理なものは破綻すると思ってます。
現在の歩道と車道を走っていいという法律が、どっちつかずでいけないことが、どちらかにすることでハッキリとするでしょうね。

投稿: 米田裕 | 2005.05.26 11:35

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